22. ドラムパターン 作成 コツ

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音楽

ドラムパターン作成のコツ|初心者が陥りやすい失敗と実践的な5ステップ

ドラムパターンを作成し始めたものの、「何か違う感じがする」「プロの曲みたいなグルーヴが出せない」と感じていませんか?多くのDTM初心者が直面するのが、ドラムパターンの構築です。正しいコツを知らないと、どれだけ音源やプラグインが良くても、曲全体がプロっぽくまとまりません。

この記事では、10年以上の制作経験から得たドラムパターン作成の実践的なコツを、初心者でも即実践できるようにお伝えします。曲のジャンルに合わせたパターン選択から、グルーヴ感を出すための細かい調整まで、具体的な手順を解説していきますので、この記事を読んだ直後から、あなたの曲のドラムがプロっぽく生まれ変わるはずです。

ドラムパターンとは?その役割と重要性

ドラムパターンとは、曲全体の土台となるキック・スネア・ハイハットなどの配置と打ち込みルールのことです。簡単に言えば、「どのタイミングでどの楽器を鳴らすか」という設計図だと考えてください。

なぜドラムパターンが重要かというと、曲のテンポ感・グルーヴ・ジャンルの雰囲気の9割はドラムで決まるからです。同じメロディーやコードでも、ドラムパターンを変えると、ポップスにもロックにもヒップホップにも聴こえ、曲の印象は劇的に変わります。つまり、ドラムパターンは、リスナーが無意識に感じる「この曲いいな」という感覚を左右する、最も大切な要素なのです。

初心者が「曲がつまらなく聴こえる」と感じるのは、大抵の場合、ドラムパターンが単調だからです。逆に言えば、ドラムパターンを工夫するだけで、確実に曲のクオリティが上がります。

曲のジャンル別|基本的なドラムパターンの選び方

ドラムパターン作成の第一歩は、曲のジャンルに合わせた基本パターンを選ぶことです。無から有を生み出すのではなく、ジャンルの「型」を理解してから、そこにオリジナリティを加えるのが、プロのアプローチです。

ポップス・シティポップの場合

キック(バスドラム)は4分音符(1小節に4回)で、一定のビート感を作ります。スネアは2拍目と4拍目に入れ、ハイハットは8分音符か16分音符でリズムの細部を埋めます。このシンプルな構造が、ポップスの親しみやすさを生み出しています。

ロック・パンクの場合

キックはポップスより複雑で、2拍目のスネアの直前に入ることが多いです。スネアは硬くアタッキーな音を選び、ハイハットは16分音符でしっかり刻みます。全体的に強いアタック感が特徴です。

ヒップホップ・トラップの場合

キックはオフビート気味に配置し、ベース音の響きを活かします。スネアはクラップ音などで柔らかく入れることが多く、ハイハットは複雑な16分音符パターンで細かなグルーヴを作ります。レイアウトの自由度が高いのが特徴です。

実践的なドラムパターン作成の5ステップ

では、実際にドラムパターンを作成するための、具体的な5つのステップを解説します。

ステップ1:まず基本となる4つの拍(1拍、2拍、3拍、4拍)の時点で、キックとスネアの配置を決める

DAW上に新しいドラムトラックを作成したら、まずは最も基本的な配置から始めましょう。初心者がよくやる失敗は、いきなり複雑なパターンを作ろうとすることです。

1小節を4つに分割し、各拍にキックかスネアのどちらかを入れるシンプルな方法から始めてください。例えば、キックが1・3拍目、スネアが2・4拍目という、極めてシンプルな配置です。このシンプルさが、後で調整する際の基盤となります。

ステップ2:ハイハットで「細部のグルーヴ」を作る

基本的なキックとスネアが決まったら、次はハイハットで細かいリズムを作ります。ハイハットは8分音符や16分音符で配置し、曲全体のテンポ感を作る要素です。

ポイントは、ハイハットを完全に均等に配置しないことです。例えば、オープンハイハットとクローズドハイハットを交互に入れる、あるいは、16分音符ごとにベロシティ(音量)を微妙に変えるなど、人間らしさを加えることで、グルーヴが一気に出ます。プロの楽曲を聴くと、ハイハットはほぼ完全に均等ではなく、わずかな揺らぎがあることに気づくはずです。

ステップ3:キックの複雑さを加える

基本的なキック配置(1・3拍目など)ができたら、ここでキックを加工するステップです。1拍目と3拍目の間、つまりオフビートにキックを入れたり、スネアの直前にキックを入れたり、あるいは連続したキック(バスドラムロール)を入れたりします。

ここでの注意点は、「複雑さ」と「明確さ」のバランスです。複雑にしすぎると、リズムが不安定に聴こえます。基本的には、1小節の中で1~2カ所程度、新しいキック音を追加するくらいが丁度よいです。

ステップ4:「フィル」を作って、曲の場面転換を表現する

フィル(Fill-in)とは、通常の4拍子パターンを抜け出し、曲のセクション変わり目で入る複雑で華やかなドラムパターンのことです。例えば、Aメロから Bメロへ移る直前の1小節などに入れます。

フィルの基本は、ドラムセット全体を使って派手さを出すことです。キック、スネア、タム(中音のドラム)、ハイハットを組み合わせて、1小節間かけてビルドアップさせるイメージです。プロの楽曲を注意深く聴くと、曲の構成の変わり目ごとに、短いドラムフィルが入っていることに気づくでしょう。

ステップ5:タイミング調整で「人間らしさ」を加える

すべての音が完全に時間軸上に配置されていると、ドラムは機械的に聴こえます。ここで重要なのが、ベロシティ(音量)とタイミングの微調整です。

具体的には、キックやスネアが理想的な位置より、わずか10~20ミリ秒前後することで、自然なグルーヴが生まれます。DAWの機能を使い、「Humanize」(人間化)と呼ばれる機能が搭載されていれば活用してください。手動で微調整する場合は、視覚ではなく耳を信頼し、「なんか違う」と感じたらマウスでドラムの位置を少しズラしてみる、くらいの感覚で大丈夫です。

よくある失敗と解決方法

失敗1:ドラムが単調に聴こえる

原因:1小節のパターンがずっと繰り返されているだけ。4小節ごと、8小節ごとに微妙な変化を加えていない。

解決方法:4小節ごとに、ハイハットのオープン・クローズの比率を変える、あるいはキックを1個追加するなど、細かな変化を心がけてください。完全な新パターンでなくても、ハイハットの開き具合が変わるだけで、リスナーは「何か変わった」と感じます。

失敗2:ドラムが曲のテンポについていかない感じがする

原因:ドラムのタイミングがDAWのグリッド(時間軸)から外れている、または計測間違い。

解決方法:DAWの設定で、曲のBPM(テンポ)が正しく設定されているか確認してください。その上で、キックやスネアを「クォンタイズ」(グリッドに吸着させる機能)で整列させます。初心者は100%クォンタイズで機械的に合わせ、その後、微調整で人間らしさを加えるのがおすすめです。

失敗3:プロの曲と比べて、音に深みがない

原因:ドラムの音色(サンプルやシンセ音)が安っぽい、または複数のドラムレイヤーを使っていない。

解決方法:キック1個だけでなく、サブベース的な低音キックと高音キックの2種類を重ねるなど、複数音色のレイヤリングを試してみてください。スネアも、メインのスネアに加えて、クラップやリムショット音を加えることで、深みが出ます。

ドラムパターン作成のコツ|プロが意識する3つのポイント

コツ1:「引き算」を大切にする

初心者は音を足しすぎて、ドラムが複雑になりすぎる傾向があります。実際には、シンプルなパターンに少しだけ複雑さを加えるくらいが、最も心地よいグルーヴを生みます。迷ったら「引く」選択をしてください。

コツ2:耳で判断し、目に頼らない

DAW上でビジュアルに凝ったパターンを作成しても、実際に聴くと「なんか違う」ことはよくあります。再生して聴くことを何度も繰り返し、「このタイミングはプロの曲に近い」という感覚を育てましょう。

コツ3:好きな曲を「コピー」して学ぶ

プロのアーティストの曲を自分のDAWに読み込み、ドラムパターンを逆算して学ぶのは、最も効果的な学習方法です。「なぜここにキックが入っているのか」「ハイハットのベロシティをどう変えているのか」を丁寧に分析することで、ドラムパターンの感覚が磨かれます。

まとめ

ドラムパターン作成のコツは、以下の3つに集約されます:

  1. ジャンルの基本パターンを理解し、そこから調整していくこと。無から有を生み出すのではなく、型を理解してからオリジナリティを加えるのがプロのアプローチです。

  2. シンプルな基本配置から始め、段階的に複雑さを加えることで、安定したグルーヴが生まれます。ハイハットの工夫、キックの複雑化、フィルの挿入を順序立てて行いましょう。

  3. タイミングとベロシティの微調整で人間らしさを出すことが、プロクオリティへの最短距離です。完全に機械的な配置ではなく、わずかな揺らぎが生命感を与えます。

これからドラムパターンを作成する時は、まず今回解説した基本の5ステップで、1つの曲のドラムを完成させてみてください。その過程で、「ここをこう変えたら良くなった」という体験を繰り返すことで、あなたのドラム感覚は確実に磨かれます。毎日少しずつ意識することで、3ヶ月後には、あなたの曲は確実にプロっぽいグルーヴを備えた作品へと進化しているはずです。

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