54. DAW 選び方 ジャンル別

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ジャンル別DAW選び方ガイド|音楽制作を始めるなら最適なツールを選ぼう

音楽制作を始めようと思ったとき、最初に困ることが「どのDAWを選べばいいのか」という問題ですよね。DAW(デジタルオーディオワークステーション)はジャンルによって向き・不向きがあり、選び方を間違えると「思った作風が作りづらい」「操作が直感的でなく挫折してしまう」といった悲しい結果になることもあります。

この記事では、10年以上の実務経験から、ジャンル別にどのDAWを選ぶべきかを具体的にお教えします。あなたが作りたい音楽のジャンルに合わせて、最適なDAWを見つけることができますよ。

DAWとジャンルの関係を理解しよう

DAW選びの前に、なぜジャンルによってDAWが異なるのかを理解することが大切です。

DAWはソフトウェアの設計思想やプリセット、搭載される音源によって特性が変わります。例えば、EDM制作に強いDAWと、ボーカル中心のポップス制作に強いDAWは別のものという場合が多いのです。

プロデューサーやビートメイカーは、自分が制作するジャンルに最適化されたDAWを選ぶことで、作業効率が上がり、より良い音を作れるようになります。「DAWは何でも一緒」という認識は卒業して、ジャンルに合わせた選択をしましょう。

ジャンル別おすすめDAW選び方

EDM・テクノ・ハウス向けDAW

Ableton LiveFL Studioがこの領域では最強です。

Ableton Liveは、グリッドベースの打ち込みと、リアルタイムなエフェクト操作に優れています。ループやクリップの概念が直感的で、ビートを素早く構築できるのが特徴。プロのEDMプロデューサーの圧倒的多数が使用しており、プリセットやテンプレートも豊富です。操作画面もシンプルで、初心者でも始めやすいですよ。

FL Studioは、「Beat Making」に特化した設計になっており、ビートメイキングツール「ステップシーケンサー」が非常に使いやすい。価格も比較的手頃で、YouTubeのチュートリアル動画も豊富にあります。サウンド的には、モダンなEDMやトラップに向いています。

ロック・バンドサウンド向けDAW

Logic ProStudio Oneがおすすめです。

Logic ProはMac専用ですが、ギターやベース、ボーカルを扱う場合の操作性が優れています。ロック系の音源プラグインが充実しており、特にアンプシミュレーターやディレイ系エフェクトが本格的。バンド系の制作では、ボーカル録音から全体のミックスまで、一通りの作業が効率よくできます。

Studio Oneは、Windows・Mac両対応で、直感的なドラッグ&ドロップ操作が特徴。コードトラック機能が優秀で、コード進行を視覚的に管理できるため、ロック・ポップス系の作曲が楽になります。

ヒップホップ・ラップ向けDAW

FL StudioCubaseが定番です。

FL Studioは、ビートメイキング文化を生み出したDAOといっても過言ではありません。ヒップホップのビートを作るのに最適化された機能が満載で、サンプリングも簡単。世界的なラッパーやプロデューサーが愛用しています。

Cubaseは、より汎用的な制作に向いており、ボーカルレコーディングの環境も整っています。ラップの場合、ビートとボーカル両方を高品質で仕上げたい場合はCubaseが活躍します。

クラシック・オーケストラ向けDAW

Cubase ProStudio One Professionalをおすすめします。

これらのDAWには、スコアエディターという楽譜表記機能が充実しており、従来の作曲方法(楽譜を書く→演奏する)に近い操作ができます。クラシック音楽やゲーム音楽制作では、正確な楽譜管理が必須ですから、この機能は重要ですよ。

また、MIDI編集機能が高度で、プロのオーケストラサウンドを作るなら、これらのDAWが適しています。

ポップス・シンガーソングライター向けDAW

Logic Pro(Mac)とCubase(Windows・Mac両対応)がいいでしょう。

ボーカル録音の環境が整っており、ボーカルエフェクトやピッチ補正機能が充実しています。特にLogic ProはApple開発だけあって、ボーカルレコーディングのワークフローが洗練されています。

また、ポップスは「リスニング環境で良く聞こえること」が重要ですから、DAWのオーディオ品質が高いことが大切です。Cubaseはその点で定評があります。

DAW選びの重要なポイント

操作性と学習環境

正直なところ、どのDAWでも基本的なことはできます。重要なのは、あなたが「使いやすいと感じるか」「学習リソースが豊富か」です。

YouTubeで「[DAW名] 講座」と検索して、日本語の解説動画が充実しているかを確認しましょう。初心者が挫折する最大の理由は「わからなくて困ったとき、誰も教えてくれない状態」です。学習環境の整ったDAOを選ぶことが成功の秘訣ですよ。

コストパフォーマンス

DAWのコストは大きな判断要因です。買い切り版と月額サブスク版、無料版があります。

初心者は、まず無料版や安価な版から始めるのをおすすめします。例えば、Cubaseの入門版「Cubase Elements」なら約1万5000円で購入でき、本格的な制作に対応できます。FL Studioも価格が安めで、初期投資を抑えられます。

一方、Logic ProはMacユーザーならお得です。Macを購入すれば、Logic Proもセットで手に入る場合が多いからです。

CPU負荷と安定性

DAWの重さも重要です。複数のプラグインを立ち上げるとパソコンが重くなってしまい、制作がストレスになることもあります。

あなたのパソコンのスペック(メモリ・CPU)と、DAWの推奨環境を事前に確認しましょう。一般的には、メモリ16GB以上、CPU i5以上があれば、ほとんどのDAWが快適に動作します。

よくある失敗と選び直しのコツ

「友人が使っているから」という理由で選ぶ

これは大きな失敗です。友人が使っているDAWが、あなたが作りたいジャンルに最適とは限りません。あなたの目標とジャンルを優先に考えてください

高い機能を求めすぎる

初心者ほど、高機能なDAWを選びがちです。しかし、機能が多いほど操作が複雑になり、学習に時間がかかります。【最初は「できることが少なくてもいい、とにかく使いやすい」DAWを選ぶ】という戦略も有効ですよ。

試用版を使わずに購入する

ほぼすべてのDAWは、30日~90日間の無料試用版があります。購入前に必ず試用版を使い、操作性を確認しましょう。わずか数日の試用で、買い直しを防げます。

まとめ

DAW選びで大切なのは、以下の3点です。

1. あなたが作りたいジャンルに合わせたDAWを選ぶ EDMならAbleton Liveやfl Studio、ロックならLogic Proなど、ジャンルごとの最適解があります。

2. 学習環境の充実さを重視する YouTubeチュートリアルが豊富か、日本語ドキュメントがあるかを確認し、挫折を防ぎましょう。

3. 必ず試用版を試してから購入する 操作性を実際に体験することで、買い直しのリスクを避けられます。

今からDAWを選ぶなら、まずは無料版や試用版でいくつか試してみてください。2~3日使ってみれば、「これなら続けられそう」というDAWが見つかるはずですよ。あなたの音楽制作の第一歩を、最適なツール選びでサポートしましょう。

おすすめ商品

  • Steinberg Cubase Elements 13 - 初心者向けながらプロ並みの機能を搭載。Windows・Mac両対応で、ポップスからロック、EDMまで幅広いジャンルに対応できます。約1万5000円の手頃な価格も魅力です。

  • Image-Line FL Studio Signature Bundle - ビートメイキングに特化した直感的なインターフェース。EDM・ヒップホップ制作に最適で、YouTube上に膨大なチュートリアルがあり、学習リソースが豊富です。

  • PreSonus Studio One 6 Artist - 直感的なドラッグ&ドロップ操作とコードトラック機能が秀逸。バンド音楽やポップス制作で力を発揮し、UI設計が美しく操作が楽しいDAWです。